後輩社員と、当人の人事評価面談をしていたときのこと。
「最近、仕事のモチベーションが上がらないんです。」と言うのです。
それに対する私の応答はこうでした。
「仕事をするのにモチベーションは要らない。」
モチベーションって何だっけ?
私はこう続けました。
「給料分の仕事をするのは勤め人の義務であって、仕事をするということについてモチベーションは関係ない。モチベーションというのは、自分を給料分以上に、より高めるために必要なものだ。」
こんな話をしたことを私はすっかり忘れていたのですが、数年前に当人が退職することになり、その挨拶でこの話を思い出させてくれました。この話をいつも胸に留めてくれていたそうです。
モチベーションとは、日本語で言うと「動機付け」。何かに取り組むときに、理由や目的を明確にして、やる気を出すことです。この理由や目的は、個人に帰属するものです。これをやると出世できるとか、新しいスキルを身に付けることで市場価値が上がるとか、特別ボーナスがもらえるとか、そういったものです。
モチベーションでなければ何なんだ?
では、通常の仕事をこなすのに必要な「やる気」って、モチベーションでないのなら、何と呼べばいいのでしょう?
ちょっと考えてみたのですが、おそらく「モラール」、すなわち「士気」かなと思いました。モラールというのは、組織における義務を果たすという意味でのやる気です。戦争で兵隊が敵に果敢に向かっていく原動力がモラールです。
モチベーションとモラールを対比している人が居るのではないかと思って、ちょっと検索してみたら、こんな記事がありました。
この記事を見ていても思いますが、どうも近年、モチベーションモチベーション言いすぎて、モラールのことを蔑ろにしてきた感があります。
給料分の仕事をこなすモラールと、個々人が自分のために成長していくモチベーションをそれぞれ高めてあげるのが、先輩社員の役割かなと思います。モラールとモチベーションの両輪によって、社員個人と会社はWin-Winの関係が作れると思うのです。